カテゴリ:大岡昇平( 3 )

 

2016年8月10日 「武蔵野夫人」 大岡昇平

昨日の読了本。

「武蔵野夫人」 大岡昇平 (河出書房新社・池澤夏樹個人編集・日本文学全集)

おいらは大岡昇平の大ファンなんだが、同じ作品ばかりを何度も読む(「俘虜記」「野火」「花影」など)一方、一回も読んでいない代表作もあったりする。(「レイテ島戦記」とか)

この「武蔵野夫人」がそうなんだが、しかしこれはおいらの趣味に合わなかった。

人間の心理を全部、地の文で書いていく手法にまずなじめなかった。

こういう作家だったのか!と発見でもあったが、しかし、う~ん。
[PR]

by maiuMY | 2016-08-11 07:14 | 大岡昇平 | Comments(0)  

2010年6月2日 「女神」 久世光彦

本日の読了本。

「女神」 久世光彦 (新潮社)

久世光彦は初読だが、名作「花影」に対抗するような本書を書くその意気やよし。

文章も上手く、大したものだ。

ただ、第2章あたりから、現実のモデルについて言及する部分が出てきて、興醒めする。

ノンフィクションなのか小説なのか、どっちつかずになっちゃうぜ・・・

この本を読んで、「花影」を書いた「大岡昇平にがっかりした」という声をネットでも散見するが、おいらはやはり「花影」は恐るべき傑作、だと思う。

亀井勝一郎がヒロインの坂本睦子を評して「「源氏物語の浮舟にバー勤めを二十年させたらムウちゃんになる。」というように、身勝手な男の妄想で、生身の坂本睦子をどっかにやって、水晶の中に「愛する、観念の中の坂本睦子を永遠に閉じ込めた」ような作品だから、生身のムウちゃんを知る「女」の白洲正子や、高見順が非難するのはよく判る。

しかし、おいらも「男」なんで、この本を書いた大岡昇平の「身勝手な男の純情」みたいなものには感動してしまう。

しかも、「花影」では「ずるい大岡昇平」も少し描き出されていて、そういう自分をも哀れむ(私小説の伝統ですなぁ・・・)作者を、完全に開き直ることもできない「女々しい」作者を、白洲正子などは逆に「怯ダ」と思うのかもしれない。

まあその通りだな。

この本はスキャンダル的なところが面白いのだが、一つの作品としては「小説」に徹してもらいたかった、というのが正直なところ。

文章が上手いだけに残念・・・・・・
[PR]

by maiuMY | 2010-06-03 06:44 | 大岡昇平 | Comments(0)  

2010年5月17日 「花影」 大岡昇平

本日、2冊目の読了本。

「花影」 大岡昇平 (新潮文庫)

初読は、おいらが中学生時代。

大岡昇平は、「野火」でノックアウトされ、「俘虜記」でうなり、「酸素」、で満足、そしてこの「花影」で「野火」や「俘虜記」に勝るとも劣らない感銘を受けたものである・・・

中学生時代のおいらは、ハードボイルドに入れ込んでいて、大岡昇平を「ハードボイルド」的に受け取っていたようだ。

今、読めば、ハードボイルドとはまったく異質の文体だが、対象を冷徹に見据える視線にやや共通したものを感じるのも事実。

この作品は、坂本睦子をモデルにしたもので、同性としてまた友人として白洲正子が批判したのも判らんでもないが、所詮、馬鹿な女の繰言である!

大岡の視線は、逃げの部分を含みながらも、情けない己自身にも向いていることは間違いない。

ただ、高見順の批判だけは、実に鋭く、傾聴に値する。

それでも、勿論、その批判はこの作品の完成度を貶めるものではない。

最後の自殺に向かうシーンで、ただひたすらに日常のこまごました所作を描写する「冷たさ」に、やはりハードボイルドに共通する何かを感じ取ってしまう・・・・・・

永遠の名作です!
[PR]

by maiuMY | 2010-05-17 23:07 | 大岡昇平 | Comments(0)