2017年 05月 02日
2017年5月2日 「新版 ジャズの歴史」 油井正一
「新版 ジャズの歴史」 油井正一 (東京創元社)
昔から古本屋で安く見かける本で(つまりそこそこ売れた本なのだろう)、古い本なのでどこか馬鹿にしていたようなところがあったが、これは傑作だと思う。
油井節というか、落語に近い節回し(それも艶笑譚)で語る「爆笑」ジャズメン・エピソードで綴るジャズの歴史。
レスター・ヤングの演奏を聴きはじめの頃、「あるべきところにあるものがない、ツルリとしたパイパンみたいな、薄気味のわるい音」って・・・・・・
油井史観というか、マイルスが非常に高評価で、レスターが過渡期的な人物として過小評価されているのはご愛嬌。(おいらは粟村政昭氏の「スイング時代におけるレスターの出現は、恐らく後年のオーネット・コールマンの登場にも比すべき画期的なものであったに違いない。」という評言の方を支持する者だが。)
最後のモダン期になってからはオデールの本の引き写しとかが多くて詰まらなくなるが、この部分がなければ名著だっただろうになぁ。