2016年 12月 10日
2016年12月10日 「悲しみのイレーヌ」 ピエール・ルメートル
「悲しみのイレーヌ」 ピエール・ルメートル (文春文庫)
おいらの射程に全く入っていなかったルメートル。
初めて読む。
久々の読了本なるも、作品が詰まらなかった訳ではなく、おいらの状況と体調のせい。
かなり久々の読書絶不調期にはまっていたみたい。
この本は処女作としては出色な1冊。
解説ではフレンチミステリーらしさを強調しているが、おいらは逆に「これがフレンチミステリー?」という驚きを感じた。
日本でフレンチミステリーの翻訳が盛んだった60年代くらいの作品の印象は、まさしくミステリーのアンチロマンみたいな作風ばかり。
この1冊はまさに現代風の正統派警察小説の体裁。
ただこの残酷味はいかにもフランスらしいと言える。
タイトルとカバー写真から大体、結末は予想でき、犯人もかなり最初の方で予測できるが、処女作であることを考えればまずまずの佳作であろう。
しかしこの主人公の慎重145cmって、ほとんどクリスティーのポアロなみのデフォルメで、あまり上手くない設定のように感じた。